山田語に挑戦!

場面は変わる(注1)。
26日土曜日、今朝は朝から細かい霧雨の雨の天気だった(注2)。
普通ごみを出した後、Konyaが向かった先は、近所のコンビニ
に足を踏み入れた(注3)。
と、書棚にある「リアル鬼ごっこ」(文芸社版)と視線が
ばっちり合った(注4)。
Konyaは今まで「リアル鬼ごっこ」の豪華(注5)な評判を
聞いていたが、未だ実物を読んだことが無く、内心ジクジク
たる思い(注6)だったので手に取るしかほかなかった(注7)。
奥付を見ると第23版、本当に売れているのだ、と次第に衝撃を
受けた瞬間(注8)、ベートーベンの交響曲第五番『運命』が
Konyaの脳に響き渡っていた・・・(注9)。

■■■ 山田語解説 ■■■
(注1)
凡百の小説だと、場面転換の際一行空けた上で、情景描写
から入り、読者にシーンが変わったことを伝えたりしようと
するものだが、山田語ではこの一文で、極めて明快に「場面が
変わった」ことを伝えることができる。
円周率を3と教えるような画期的進歩的語法といえる。

(注2)
同じ意味の言葉を重ねることにより、読者の脳裏により鮮明な
情景を想起させている。「馬から落ちる」よりも「馬から落馬
する」ほうがよりイタイ感じがするではないか。

(注3)
前半と後半で文脈をあえて断ち切り、読者を言葉の迷宮に
誘い込むミステリ本の新しい試み。

(注4)
無生物と視線をバッチリ合わせるのは至難の業と思われるかも
知れないが、「本は語る」という比喩を一歩進めた挑戦的試み。

(注5)
山田語を解する上で避けて通れぬキーワード、頻出させるのが
好ましい(一場面に6回程度)。

(注6)
難しい言葉を使いたいんだけど、あまり自信が無いし、間違って
たら馬鹿にされるし・・・。そのような日本人特有の消極性を
打破すべく、作者自ら「忸怩(じくじ)たる思い」をわざと
誤記し、「ね、これでも本屋さんで売れるんだよ」と読者を
啓蒙している。

(注7)
「手に取るしかない」「手に取るほかない」という二つの文を
合体させ、より崖っぷちな状況を表現。

(注8)
「衝撃を受けた瞬間」というショッキングな場面に「次第に」と
いう呑気な言葉を前置することで、読者が過度の刺激を受けない
ようにするセイフティネット的語法。

(注9)
マンガなら「がーん」と書き文字を入れれば済むことだが、
文芸作品たるもの、そのような安直さは許されぬ、そこで
わざわざ楽聖にご登場いただいた次第、ご苦労さまです。


以上、今朝コンビニで立ち読みした「リアル鬼ごっこ」の
聞きしに勝る内容に衝撃を受け、ついつい書いてしまいました。