ホラーなホラー小説

ホラー小説のパターンのひとつに
 「起」 怪現象がおきる → 「承」 おびえる → 「転」 合理的な解釈が得られ、安心する →
 「結」 どんでん返し
といったものがある。
幽霊を見た、と思ったらなんだ柳の木か、と油断してその木に近づくと、実は柳の妖怪で枝に絡め
取られ死んじゃう、みたいな話。
私が読んだ中の一篇もその流れの話だったんだが、「転」の「合理的解釈」が仰天モノだったので
ちょっと紹介しようと思う。
主人公が幼い頃の恐怖体験を回想しながら。
−大人になった今ではすべてに理屈がつけられる。(中略)便所で見た姉は珍しい現象ではある
けれど幽体離脱だったのではないか? 姉もきっと私のように必死で尿意を堪えていたに違いない。
そんな時、たまに幽体離脱現象に見舞われる。便所に行きたいという願いが、もう一人の自分と
なって現れる。そういう事例がいくつもあることを私は本を読んで知った。−


幽体離脱」を持ってきて「理屈がつけられる」って・・・。
便所を我慢してて「幽体離脱」というのもなんだかなあ、という気がするが、どうやらこの作者の
中では「幽体離脱」は「たまにある事実」として認定されているようなのだ。
えっ、と思い何度か読み返してみたのだが、ギャグで書いているわけでも無さそうだし。
私にとってはストーリーより、コッチのほうがよっぽどホラーなお話であった。


ちなみに作者は、○橋○彦氏、ああ、なるほど・・・。