偉大なる諦観

土曜は久々に祖母のところに顔を出す。
元気でしっかりもののおばあちゃんももうすぐ94歳、さすがに
明晰な頭脳にもたまに陰りが見える。
彼女自身もそれを強く自覚しており、「ボケだけは嫌」と
口癖のように言っていたものだが、今日「忘れるのも悪くない」
と発言。
そう、彼女は自分の意思で「ボケ」にも克ったのだ。
明治生まれの祖母は、裕福な家で生まれ、女学校まで出ながら
実家の没落、半島での新生活、終戦時に無一文で帰還とまさに
波乱の前半生であった。
それまでも「強い人」と思ってはいたが、人生の終盤に至っても
老いとの戦いを続け、そしてついに勝利してしまった。
何と大きな人だろう。偉大な祖母の「孫」であることに感謝と
誇りをおぼえる。