インデックスに命を掛けて

CDのジャケット作りが最近のマイブーム。

CD-RにコピーしたレンタルCDのインデックス(収録曲情報)を作る
つもりではじめたんだけど、パソコンとインターネットのお陰で、
製品に近いものが出来てしまう、というお話。


昔むかしのその昔、レコードをカセットテープにダビングしていた
頃、美しくて統一感のあるカセットインデックスにあこがれていた。
テープはマクセルのUD-1(銀のノーマル)と2(金のクロム)で揃
え、当時出たばかりのゼブラマッキー極細ペンを使い、今で言うな
ら半角大文字ゴシック体で、一文字一文字丁寧に書いたものである。
インレタ(インスタントレタリングの略、アルファベットの転写シール)
を使った友達のインデックスカードを見たときは、敗北感に打ちの
めされたものだ(笑)。すぐにマネしてみたが、あまりの手間に2
曲目でギブアップしたっけ・・・。


そんな恥ずかしくも懐かしい思い出をフラッシュバックさせながら、
作業をしていると、ついつい昔の凝り性が顔を出してしまうのであ
る。
せっかくカラープリンタがあるんだから、文字だけじゃさみしい、
そうだ!アマゾンとかのwebCDショップにジャケットの写真があっ
たな、と思いつき、それをフォトショップで貼り付ける。
もちろん低解像度だからだいぶネムく(不鮮明)なるので、透明度
を50%にしてやると(プリンタインクの節約というセコイ目的もあ
る)、おお、スタンドバーに貼ってある昔の映画のポスターみたい
にイイ雰囲気になるではないか!
もちろん裏面には、アルバムタイトルと曲目を入れてやる。これも
ネットからのドラッグ&ドロップでお手軽にできちゃう。

そんな工程で、できたCDがこちら



あまりの上首尾に、何だか音楽の神様に申し訳ないことしている気
分になる。音楽CDを個人で楽しむ目的でCDに焼く行為自体はもちろ
ん合法的なものだけど、アーティストに対して、レンタルで済ます
ことに、そして簡単にジャケットまで自作できちゃう事に、多少の
罪悪感を感じてしまうわけですね。


そう、そして昨今の「稚拙な」偽札事件と、作業的にほとんど同じ
ようなことをしている、という後ろめたさもあるんだよなあ。


ちょうどカセットインデックス作りに熱中していた頃に読んだ星新
一のショートショートにこんな話があった。
プリンタ技師が、新型プリンタの精度をチェックするために、本物
の紙幣を白く染めた上にコピー紙幣を印刷し(普通の紙に印刷する
と通貨偽造になるので)、仕上がりを見てつぶやく。
「こんなにホンモノそっくりじゃマズイから、もっと性能を落とさ
なければ」。
エプソンとかキヤノンの人も、テスト段階で紙幣のプリント実験を
しているのだろうか? と素朴な疑問を持ったり。